先手を取る練習法(2〜1級向け)

先手を取る力を鍛えるには

みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。

・先手が大きいと聞くが、いまいちピンとこない
・先手を取る方法がよく分からない

こんな疑問を持っている囲碁級位者の方(2〜1級)に向けて、この記事では

・先手がなぜ大きいのか
・先手を取る練習法

というテーマについて、参考図も交えながら解説します。

いよいよ初段が近づいてきました。
最後に「先手」を学び、棋力向上を目指しましょう。

井桁
井桁
先手を取るための練習法を紹介します。
デイビー
デイビー
この講座もあと2回!よろしくお願いします!

先手はなぜ大きいのか

囲碁では先手を取る価値がとても大きいです。
それは先手を取れると、自分の作戦を満足に進められるからです。

例えば下図の局面で、白は右上隅の自陣を守るのと、左下隅の黒の拡大を防ぎたかったとします。

この時に例えば白1と単に一間で守ると、黒は右上を打たずに左下に先着できます。これはお互い様の進行ですね。

もし白1で下図のコスミツケを選んでいたらどうか。
コスミツケは一間よりも黒にプレッシャーを与えているので、黒2とノビるのが通常の進行です。

すると白3で左下にカカることができ、黒の拡大を防ぐことができました。

右上隅にはまだ黒から三々に入る手が残りますが、白3と打たれたら黒は左下の補強を優先したいので、すぐに右上に回れるわけではありません。白は両方を打てたことに満足します。

このように先手を取ることができれば、自分が打ちたい場所により多く打つことができます。
一局の主導権を握ったとも言えるでしょう。

反対に後手に回ってしまうと、相手のやりたいことに付き合ってばかりになります。そういった展開では、出来上がる陣地も自ずと小さくなってしまうものです。

2級、1級の皆さんは、これまで様々な定石を覚えてきたので、基礎的な対応を一局通じてできます。

ただそれで満足するのではなく、もう一段上を目指しましょう。
そうした定石を打つと同時に、先手を取ることも意識してみるのです。

そのための練習法をこちらで紹介しますので、参考にしてみてください。

井桁
井桁
私が実際にやっていた方法です。

定石を分析しよう

先手の感覚を鍛えるために、まずやっていただきたいのが基本定石を分析してみることです。
皆さんが知っている定石が、どちらの手番で終わるのかを確認しましょう。

例えば小目のツケ引き定石を見てみます。
するとカカリを打った側が後手を引く定石だとわかります。

デイビー
デイビー
カカられた側は隅は10目くらいになるけど、先手で別エリアに打てるんだね!

次に三々定石を見てみましょう。
三々は様々なパターンがありますが、もっともシンプルな下図を取り上げます。
この場合は三々に入った側が隅で10目ほど作り、且つ先手になっているのが分かります。

このように普段知っている定石を使って、どちらが先手なのかを改めて見てみましょう。
これをやるだけでも序盤の捉え方がだいぶ変わるはずです。

井桁
井桁
2つの定石を使ってテーマ図を考えてみましょう。

序盤のテーマ図

次が白番です。
白は右上隅では三々に、右下隅ではツケ引き定石を打ちたかったとします。

この局面で両方を打つためには、どちらに先に打てばいいでしょうか。

この場合は右上隅の三々から打つのが理想です。
定石通りに進めば白が先手を取れるため、右下隅に先着できます。

デイビー
デイビー
白はどっちも打てたね!

反対に右下隅から打つと、白は後手を引くことがわかっています。
黒は右上をシマることができるでしょう。

もちろん右上の三々に対し、黒が別の定石を打ってくると同じようにはいきません。
ただその時はその時でまた定石を分析し、自分にとって理想の盤面を考えましょう。
※ちなみに上図はいずれも定石通りに進んでいるため、形勢は互角です。

中盤のテーマ図

次が白番で、打ちたい場所が2つあったとします。
1つは上辺△へのツケ。右上黒の厚みを消す作戦です。
もう1つは下辺△に打ち込んで、黒地を荒らしたいという作戦です。

中盤も先ほどと同じように考えます。どちらを先に打つと両方打てるでしょうか。
それぞれ定石通りに進んだものとして考えてみてください。

この場合は上辺ツケから打ちます。
白1〜黒4までが想定できるので、白は下辺にも先着できます。

下辺を先に打つと白が後手を引くので、黒は先手で上辺をふくらませることができます。

これも分析すると分かりますが、打ち込みの定石は打ち込んだ側が後手を引くものがほとんどです。
相手が多いエリアに入っていくので、多少は仕方ないことでもあります。

こんな感じで中盤の定石も分析してみましょう。戦いの中で先手を取れれば、そこから一気に形勢を動かせますよ。

デイビー
デイビー
これまで学んだ定石をもう一度見てみるね!

まとめ

・先手を取ることが初段への鍵
・まずは定石を分析してみよう
・序盤だけでなく中盤も同じように分析できる

先手の頻度を増やすことが有段者に近づく一歩です。

そのためにできる方法として、まずは知っている定石を分析してみてください。定石の理解も深まりますし、対局中の意識も必ず変わりますよ。

定石を分析したら、次は自分の対局を振り返る時に「先手」に注目しましょう。
一局の中でどれくらい先手を取れていたのか振り返ることで、現状の感覚を把握できます。

その他、本や動画で学ぶ時も、先手に注目してみることをおすすめします。
あらゆる方法で先手を意識することで、感覚を少しずつ鍛えることができますよ。

次回は当講座の最終回です。
「ヨセの基本」というテーマで、ヨセの考え方を取りあげます。
最後までよろしくお願いいたします。

井桁
井桁
先手を意識すると囲碁がよりおもしろくなります!がんばってください!
デイビー
デイビー
今回もありがとうございました!最後までよろしくお願いします!

*次の講座は下の画像から飛べます

ヨセの基本・ここだけ覚えよう3つのポイント(2級〜1級向け)

井桁健太DecoBoco合同会社 代表

投稿者プロフィール

DecoBoco合同会社 代表社員/33歳
囲碁アマ五段・講師歴:10年

個人レッスンやオンライン囲碁サロンの運営などを通じ、初心者から経験者まで幅広く囲碁を教えている。
YouTube「井桁健太の囲碁チャンネル」でも講座動画などを多数載せています。登録者は4200名を突破(2024年11月時点)。

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