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先手を取る練習法(2〜1級向け)
- 2024/9/19
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先手を取る力を鍛えるには
みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。
・先手が大きいと聞くが、いまいちピンとこない
・先手を取る方法がよく分からない
こんな疑問を持っている囲碁級位者の方(2〜1級)に向けて、この記事では
・先手がなぜ大きいのか
・先手を取る練習法
というテーマについて、参考図も交えながら解説します。
いよいよ初段が近づいてきました。
最後に「先手」を学び、棋力向上を目指しましょう。
先手はなぜ大きいのか
囲碁では先手を取る価値がとても大きいです。
それは先手を取れると、自分の作戦を満足に進められるからです。
例えば下図の局面で、白は右上隅の自陣を守るのと、左下隅の黒の拡大を防ぎたかったとします。
この時に例えば白1と単に一間で守ると、黒は右上を打たずに左下に先着できます。これはお互い様の進行ですね。
もし白1で下図のコスミツケを選んでいたらどうか。
コスミツケは一間よりも黒にプレッシャーを与えているので、黒2とノビるのが通常の進行です。
すると白3で左下にカカることができ、黒の拡大を防ぐことができました。
右上隅にはまだ黒から三々に入る手が残りますが、白3と打たれたら黒は左下の補強を優先したいので、すぐに右上に回れるわけではありません。白は両方を打てたことに満足します。
このように先手を取ることができれば、自分が打ちたい場所により多く打つことができます。
一局の主導権を握ったとも言えるでしょう。
反対に後手に回ってしまうと、相手のやりたいことに付き合ってばかりになります。そういった展開では、出来上がる陣地も自ずと小さくなってしまうものです。
2級、1級の皆さんは、これまで様々な定石を覚えてきたので、基礎的な対応を一局通じてできます。
ただそれで満足するのではなく、もう一段上を目指しましょう。
そうした定石を打つと同時に、先手を取ることも意識してみるのです。
そのための練習法をこちらで紹介しますので、参考にしてみてください。
定石を分析しよう
先手の感覚を鍛えるために、まずやっていただきたいのが基本定石を分析してみることです。
皆さんが知っている定石が、どちらの手番で終わるのかを確認しましょう。
例えば小目のツケ引き定石を見てみます。
するとカカリを打った側が後手を引く定石だとわかります。
次に三々定石を見てみましょう。
三々は様々なパターンがありますが、もっともシンプルな下図を取り上げます。
この場合は三々に入った側が隅で10目ほど作り、且つ先手になっているのが分かります。
このように普段知っている定石を使って、どちらが先手なのかを改めて見てみましょう。
これをやるだけでも序盤の捉え方がだいぶ変わるはずです。
序盤のテーマ図
次が白番です。
白は右上隅では三々に、右下隅ではツケ引き定石を打ちたかったとします。
この局面で両方を打つためには、どちらに先に打てばいいでしょうか。
この場合は右上隅の三々から打つのが理想です。
定石通りに進めば白が先手を取れるため、右下隅に先着できます。
反対に右下隅から打つと、白は後手を引くことがわかっています。
黒は右上をシマることができるでしょう。
もちろん右上の三々に対し、黒が別の定石を打ってくると同じようにはいきません。
ただその時はその時でまた定石を分析し、自分にとって理想の盤面を考えましょう。
※ちなみに上図はいずれも定石通りに進んでいるため、形勢は互角です。
中盤のテーマ図
次が白番で、打ちたい場所が2つあったとします。
1つは上辺△へのツケ。右上黒の厚みを消す作戦です。
もう1つは下辺△に打ち込んで、黒地を荒らしたいという作戦です。
中盤も先ほどと同じように考えます。どちらを先に打つと両方打てるでしょうか。
それぞれ定石通りに進んだものとして考えてみてください。
この場合は上辺ツケから打ちます。
白1〜黒4までが想定できるので、白は下辺にも先着できます。
下辺を先に打つと白が後手を引くので、黒は先手で上辺をふくらませることができます。
これも分析すると分かりますが、打ち込みの定石は打ち込んだ側が後手を引くものがほとんどです。
相手が多いエリアに入っていくので、多少は仕方ないことでもあります。
こんな感じで中盤の定石も分析してみましょう。戦いの中で先手を取れれば、そこから一気に形勢を動かせますよ。
まとめ
・先手を取ることが初段への鍵
・まずは定石を分析してみよう
・序盤だけでなく中盤も同じように分析できる
先手の頻度を増やすことが有段者に近づく一歩です。
そのためにできる方法として、まずは知っている定石を分析してみてください。定石の理解も深まりますし、対局中の意識も必ず変わりますよ。
定石を分析したら、次は自分の対局を振り返る時に「先手」に注目しましょう。
一局の中でどれくらい先手を取れていたのか振り返ることで、現状の感覚を把握できます。
その他、本や動画で学ぶ時も、先手に注目してみることをおすすめします。
あらゆる方法で先手を意識することで、感覚を少しずつ鍛えることができますよ。
次回は当講座の最終回です。
「ヨセの基本」というテーマで、ヨセの考え方を取りあげます。
最後までよろしくお願いいたします。
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