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相手の石をうまく切る方法(5〜3級向け)
- 2024/8/21
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戦いになると負けてしまう人へ
みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。
・初段になるにはどうしたらいいのか
・戦いを苦手に感じている
・相手の石をどうしたらうまく切れるか
こうした疑問をもっている囲碁級位者の方(5〜3級)に向けて、この記事では、
・級位者と有段者の違い
・切って成果を上げるポイント
というテーマについて、参考図も交えながら解説します。
5〜3級となると、もうすぐ初段が見えてきた段階です。
何を学ぶとステップアップできるのかまとめていきます。
講師は井桁(アマ五段)、生徒は弊社キャラクターのデイビーが担当します。
級位者と有段者の違い
皆さんは様々な定石も覚え、一局通じて安定して打てるようになってきました。
ここから棋力を上げるには、まず相手をうまく切れるようになることが大切です。
切りは級位者と有段者との差が顕著に現れる点だと思っています。
有段者と対局した時を想定しましょう。
序盤は順調に進んだのに、中盤になった途端に崩れてしまうことはありませんか。
そうなる原因は「切り」にあることが多いです。
相手に切られて自分の石が弱くなり、逃げないといけない展開になったり、時には死活が絡むこともあると思います。
では自分も切ればいいのかと思いますが、実際はそううまくいきません。
相手のキズを見つけても、そこを切るのを不安に感じてしまうからです。
切りを不安に感じる理由は、切った後の展開がイメージできないからだと思います。
切った後で何を考えればいいのかわからないので、その1手目も打てなくなってしまうのです。
このように切りを苦手にしている級位者の方は多いので、こちらの記事で対策や考え方を解説します。
切った後の考え方
具体的なテーマ図に入る前に、切った時に便利な考え方を紹介します。
それは「『切り違い一方ノビよ』にはノビよ」です。
まず「切り違い一方伸びよ」は相手に切られた時に意識したい格言です。これは知っている人も多いと思います。
そしてそのノビに対する次の手も、やはりノビがいいという考え方となります。
これは一般的なものではなく、私の経験を踏まえてまとめた格言(考え方)です。これを意識したことで切りの技術がとても高まりました。
どういう仕組みかをこれから紹介します。
ノビがいい理由
まず切りられた時にノビがいい理由は、自分のダメを増やすことで取られにくい石を作れるからです。
もちろん他の対応がいい場合もありますが、それでもノビておけば間違いがないと思います。
よって自分が切ると、相手はノビることが予想できるので、その後はこちらもノビましょう。
相手が取れないなら、自分も取られにくくしましょう。
テーマ図
それでは下図のテーマ図を使って具体的な対応を見ていきましょう。
次が白番です。このままだと下辺の黒地が大きくなりそう。
「切り」を活用して黒地を膨らませないようにしましょう。
まず切らないとどうなるかを見ていきます。
仮に右下から素直に辺に打ってしまうと、黒も自然とノビてきます。
そして黒8あたりで左下に先着されて、右辺の白地以上に黒地が大きくなってしまいます。
もちろんこれでは白は失敗。切るのが不安な人はこうした展開が多いかもしれません。
テーマ図の黒にはキズがあったので、まずそこを切りましょう。
そしてここからが今回のポイントです。
切られた黒は「切り違い一方ノビよ」にならって黒2とノビます。
そしたら白は「にはノビよ」の通り、白3とノビましょう。
白3にノビられると、黒は下辺の三間のスペースが気になります。そのため下図のように黒4と守ることが基本想定です。
白は右辺に先着し、黒2子にプレッシャーをかけることができます。
その後は黒も下図のように右辺で地を作ろうとします。
白も自然と補強され、白7まで石が増えればもう心配のない石と評価できるでしょう。
切らなかった盤面と比べて、黒地をはるかに小さくできたのがわかります。
ちなみに白9に対して黒が1,3と切ってきたらどうしますか。考えてみてください。
この場合もやはり互いにノビ合うことを想定します。
今度は黒が「にはノビよ」の通りに黒5と打ちます。
白は右上の2子が不安に見えるかもしれませんが、黒の右辺の一団はまだ生きているか微妙です。
そのため白を一方的に攻めるような作戦は選びにくいので、互角の戦いがこの後も続くと思います。
このように切った後は互いにノビ合うのがよくある進行です。
「『切り違い一方ノビよ』にはノビよ」を覚えていただき、対局でも使ってみてください。
それでも不安な人は
格言は分かったけど、まだ切るのが不安・・。
そう思う人は「一局の中で2回は切る」といった自分ルールを決めて対局してみてください。
それが達成できたなら、負けてしまったとしてもOKです。勇気を出して切った自分をほめてあげてください。
そういう対局を重ねていくことで、切ることに少しずつ慣れていきますよ。
まとめ〜中盤力を磨いて初段へ〜
・切れるかどうかが有段者との差
・「『切り違い一方ノビよ』にはノビよ」を意識する
・勇気が出ない場合は自分ルールを設ける
上述の通り初段に近づくには、石をうまく切れることがポイントです。
そこができれば有段者と打っても負けにくくなります。
最初は不安もあると思いますが、今回学んだことを対局で実践してみてください。必ず棋力向上につながりますよ。
次回は初めての捨石(アテ返し)というテーマを取り上げます。
石を捨てるとはどういう考え方なのか解説します。
更新をお楽しみに。
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