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ヨセの基本・ここだけ覚えよう3つのポイント(2級〜1級向け)
- 2024/9/26
- ざっくり学ぶ囲碁講座
ヨセの基本・3つのポイント
みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。
・ヨセの考え方を知りたい
・ヨセで価値の大きいところを知りたい
こんな疑問を持っている囲碁級位者の方(2〜1級)に向けて、この記事では
・両先手と片先手
・ヨセの計算の仕方
・2線のヨセは意外と大きい
というテーマについて、参考図も交えながら解説します。
いよいよ当講座の最終回です。最後はヨセについて解説します。
盤上も講座も良い締めくくりにしましょう。
2つの先手ヨセ
ヨセには「先手ヨセ」と「後手ヨセ」という種類があります。
先手ヨセとは、そこでのやりとりが終わったあとで、自分がまた着手できるヨセのことをいいます。
後手ヨセはその反対です。
ヨセに限らず、囲碁では後手を引くと相手に主導権がわたってしまうので、後手ヨセはなるべく最後に打つことになります。
そして「先手ヨセ」にも2つの種類があります。
「両先手」と「片先手」です。
両先手とは、黒白どちらの立場でも、そこに打つと先手を取れる場所です。
片先手とは、片方だけが先手を取れる場所のことをいいます。
この2つが同時にある場合は、両先手を優先して打ちます。
自分の先手を維持しながら相手の先手を奪うこともできるため、片先手よりも優先順位が高いのです。
下図を見ていきます。
次が黒番で右下と左下にヨセがありますが、どちらが両先手でしょうか。
正解は右下です。黒白どちらが先に打っても先手になることが分かります。
反対に右下は片先手です。
黒が打てば先手になりますが、白から打つと後手になります。
また計算するうえで、一つ大切なことを共有します。
片先手の場所は「先手になる人が打つもの」として計算します。
上述の通り、後手を引く場所は後回しにするので、この考え方が適用されます。
出入り計算
序盤や中盤では複雑な展開が起きますが、ヨセは単純なやりとりがほとんどです。
そのため「この手は6目」「こちらは10目」といったように、そのやりとりの価値を数値に出せます。
実際は不可能に近いですが、大きい順に打つことができれば、必ず相手よりも得します。
そしてそういった数値は「出入り計算」という方法を使って数えます。
「出入り計算」とは、その場所に自分が着手した場合にできるお互いの陣地と、相手が着手した場合にできる陣地の増減を比べて数値化する方法です。
これを使ってテーマ図を考えてみましょう。
テーマ図
左下隅でヨセを打てる状況です。
どちらからも2線にハネてからつなぐ手が浮かびますが、その価値はどれくらいでしょうか。
まず黒が打った場合は黒地が21目、白地が19目になります。
白4で他のところに打っているのは、黒3まで打った形が黒にとって片先手だからです。
白は左下はすぐに打たず、他の場所に打つものと捉えます。
そして黒5〜白10まで打ってできる陣地が黒21目、白19目となります。
次に白が先着した場合を見ていきましょう。
先ほどと同じで白3まで打った形が白にとっての片先手のため、黒4は他に打ちます。
そして黒10まで進むと、黒14目、白26目になっています。
これらを出入り計算すると、以下のようになります。
・黒地:21-14=7目の増減
・白地:26-19=7目の増減
合計:7+7=14目の価値
2線のハネツギはとても単純なやりとりですが、こうした数字が動いているのです。
各々4手目で他に打てるので、もちろん一方的に大きく得できるわけではありません。
2線のヨセは意外と大きい
ヨセは2線に打つ手が意外と大きいです。
終盤になるとどこが大きいか迷うことがあると思いますが、とりあえず2線に打ってみましょう。
明確な数字が出せなくても、確実に得することができますよ。
例題として下図を見ていきましょう。
それぞれが△に打つ手は何目くらいの価値があるでしょうか。
状況にもよりますが、△はだいたい15目ほどと言われています。
黒が先に打った場合は以下が想定図の一つです。
※白2ですぐに対応したり、白4で手抜く可能性もあります
反対に白が打つと以下が想定図の一つです。
※白3〜白7までは、比較を分かりやすくするために打っています。
黒白それぞれ7〜10目の増減があるため、出入りで15目〜20目の価値と言えます。
まとめ
・両先手→片先手という順番で打っていく
・増減で判断する「出入り計算」をもとに数える
・2線のヨセは意外と大きい
ヨセの基本的な考え方を紹介しました。
ヨセの勉強をしようと思った時には、2線のハネツギや上図のような、よくあるパターンを出入りで数えてみてください!
それをもとに打ってみると、終盤でも得できるようになるでしょう。
以上で【ざっくり学ぶ囲碁講座】は一旦終了となります。
全13回+概要を通じて、序盤、中盤、終盤の基本的な考え方や打ち方を紹介しました。
それぞれの棋力帯で、何を学んだらいいか分からなかった方にとって参考になっていれば嬉しいです。
一度読んで分からないことがあったら、くり返し読んでみてくださいね。
今後も囲碁講座ブログは更新していきます。
その際はこの【ざっくり学ぶ囲碁講座】を軸としながら、より実戦的なテーマ図と打ち方を紹介するつもりです。
その他、私は個別レッスンや、オンライン囲碁サロン「かけつぎ」の運営などを通じて、みなさまの上達をサポートしております。
興味あるものがあれば気軽にご利用ください。
*ざっくり学ぶ囲碁講座の概要は以下から見られます