凄まじいコウ争い〜棋聖戦Sリーグを観戦して〜

井山王座vs芝野名人

こんにちは。DecoBocoの井桁です。

昨日は【第49期・棋聖戦Sリーグ】のYouTube中継がありました。
対局者は井山裕太王座vs芝野虎丸名人という好カード。
仕事の合間に見ていたのですが、これが見ていて楽しい大熱戦でした。

黒は左上隅と左下隅で三々に入り、また右下も完全な黒地にするなど足早に陣地を稼いでいきました。
対する白も右下を譲った代わりに、もともと黒地だった右上を白地にするなど、互角の戦いが続いていきます。

黒97手目のボウシあたりから中央が徐々に黒模様っぽくなりました。
さらに黒119手目で左下を切っていよいよ模様がくっきりと見えてきます。

芝野名人は中央黒の薄みに味付けし、それらを活用して白138手目から中央を荒らしにいきました。

そこを皮切りに複雑な戦いへ突入します。
視聴者には理解できないほど石がぶつかり合い、大きな戦いが中央と右辺で起きました。

中継では盤面だけでなく対局部屋の様子も映し出されていたのですが、まるでそこだけ重力が重くなってるかのように二人とも前のめりでした。

戦いは続き、白182手目から右下でコウ争いが発生。
このコウは互いに譲れないようで、各所のコウ材を使って何度も取り合います。
もともと盤面が複雑でコウ材が大量にあり、解消するまで1時間半ほどかかっていたと思います。

囲碁AIによる形勢グラフは、それまでずっと互角と表示されていましたが、コウが終わった瞬間ついに動きがありました。
コウに勝った井山王座が優勢となったのです。

ただ盤上はまだ複雑で、自分ではその優劣はまったく分かりません。
そこから左上でもコウが発生し、最後まで目が離せない戦いが続きました。

結果は右下のコウで差をつけた井山王座の2目半勝ちでした。
最終的に二人のアゲハマは30子以上あったと思います。凄まじい碁を見たなぁと感動してました。

これで棋聖戦のSリーグは井山王座が優勝しました。
棋聖戦はSリーグの優勝者と準優勝、そして各リーグの優勝者によるトーナメントが行われ、今回の芝野名人も準優勝者として参戦します。
トーナメントの面々も本当に強い人ばかりなので、一力遼棋聖に誰が挑戦するのか注目です。

対局者のお二人、本当にお疲れ様でした。
そして記録係の重川明司初段も長丁場をお疲れ様でした!

井桁健太DecoBoco合同会社 代表

投稿者プロフィール

DecoBoco合同会社 代表社員/33歳
囲碁アマ五段・講師歴:10年

個人レッスンやオンライン囲碁サロンの運営などを通じ、初心者から経験者まで幅広く囲碁を教えている。
YouTube「井桁健太の囲碁チャンネル」でも講座動画などを多数載せています。登録者は4200名を突破(2024年11月時点)。

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