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初めての捨て石〜シメツケ〜(5〜3級向け)
- 2024/9/2
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捨て石の手筋(後編)
みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。
・石を捨てる方法がよくわからない
・なぜ石を捨てると得するのか
こんな疑問を持っている囲碁級位者の方(5〜3級)に向けて、この記事では
・捨て石の手筋「シメツケ」
・「2子にして捨てる」という技
というテーマについて、参考図も交えながら解説します。
前編では、捨て石の根本的な考え方と、具体的な手筋として「アテ返し」を取り上げました。
後編では別の手筋「シメツケ」について解説します。
※前編を読んでない方は、まずはそちらから読んでみてください。
*初めての捨て石〜アテ返し〜(5〜3級向け)
要石とカス石
前回の復習から始めましょう。
囲碁では捨てていい石とそうではない石があります。
捨てていい石を「カス石」といい、捨ててはいけない石を「要石(かなめいし)」といいます。
要石はそれを取られると相手の弱い石が強くなってしまう石です。
カス石は相手の強い石にピッタリくっついているような石で、それを取られてもさほど影響がないものを指します。
シメツケ
「シメツケ」とはその名の通り、相手の石を締め付けるような手順のことです。
下図を見てみましょう。次が黒番です。
黒△と白3子が競り合っていますが、黒△はあと2手で取られてしまうため、この場合は白よりも先に取られてしまいます。
この時に有効なのが黒1のツケです。
これで攻め合いが互角になったので、白も対応せざるを得ません。
白2、黒3がそれぞれアタリになり、白4までが一本道となります。
黒は3子を取られたものの、先手で次の大場に向かうことができます。※黒5は他の場所に打てる
上図の黒1〜白4までが「シメツケ」です。
白が外からぎゅっと絞られたようになっているのが分かりますか。
得と評価できる理由
上図は黒の方が得していると評価できます。
黒は3子は取られたものの、その間に外側を固めて下辺を陣地にしやすくなったからです。
また先手をとって別の大場に向かうことができるのがとても大きい。
3子を取ったということは、単純計算すれば6目の得。
今回はそれより多く得していますが、黒の方が大きく得しているのがわかります。
これらを比べた時に「黒の方が得した=捨て石(シメツケ)が成功した」と言えるのです。
石を捨てた際の損得は、こうした比較で判断します。
そしてこの「シメツケ」の中で有名なのが「2子にして捨てる」という技です。具体例を見ていきましょう。
2子にして捨てる
次が白番です。
右下の△は黒の強いエリアにいます。捨て石を活用して補強しましょう。
この時は白1のツケが急所です。
黒2とハネられたら白3と切ります。
当然黒4とアタリしてくるわけですが、次の一手が手筋です。
白5が「2子にして捨てる」の急所になります!
黒6と追いかけられると白2子は取られてしまうのですが、この手筋はここから本領発揮です。
2子にしたことで白7や9といった周囲からのアタリがすべて響きます。
黒も自身が取られると白が安定してしまうので、対応せざるを得ません。
そして2子を取らせたら白13と中央に先着できます。
もともと不安定だった△が、だいぶしっかりしているのが分かると思います。
下辺の黒地はもともと強かったので、白2子はカス石と言えます。取られても気にしなくて大丈夫です。
白5ですぐにアテ返すと、同じように中央には進出できるものの、2子にした場合と比べて白石が少ないのが分かります。
あえて1子多く取らせることで、安定しやすい形にできるのでした。
まとめ
・カス石は捨てていい、要石は捨ててはいけない
・「シメツケ」という手筋がある
・「2子にして捨てる」はその代表例
前編でも書きましたが、捨て石は級位者には難しい分野です。
何度も試してみながら感覚に慣れていきましょう。
石を捨てることに特化した問題集などもあるので、興味が湧いた方はそういったものを読んでみるのがおすすめです。
次回は5〜3級向けの最終回として、「安全に敵陣に打ち込む方法」について解説します。
「辺の打ち込み」(9〜6級向け)の応用になります。更新をお楽しみに!
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