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初めての捨て石〜アテ返し〜(5〜3級向け)
- 2024/8/23
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石を捨てるってどういうこと?
みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。
・石を捨てるというのがよくわからない
・なぜ捨て石は得するのか
こうした疑問をもっている囲碁級位者(5〜3級)の方に向けて、この記事では、
・捨てていい石とそうでない石の見分け方
・まず覚えたい2つの捨て方
というテーマについて、参考図も交えながら解説します。
「石を捨てる」という表現は、囲碁の本や動画によく使われています。
自分の石をあえて取らせることで、得できることがあるのです。
皆さんがここから棋力を上げるには、この捨て石と向き合うことが欠かせません。
学び始めの教材としてこの記事を読んでみてください。
講師は井桁(アマ五段)、生徒は弊社キャラクターのデイビーが担当します。
捨て石の考え方
捨て石は相手に取らせることがポイントです。
「取らせる」とは、対局中にしっかり囲わせるということです。
うまく囲わせられると、それだけ相手に手数をかけさせたことになるので、その間に自分は他の場所で得することができます。
これが捨て石の根本的な考え方です。
捨てていいのはどんな石?
捨てていい石は「カス石(かすいし)」とされる石です。
反対に取られてはいけない石を「要石(かなめいし)」といいます。
要石とは、それを取られると相手の弱い石が強くなってしまう石のことを指します。
囲碁では相手の弱い石を作ることがとても大きいので、要石は取られてはいけません。
反対に相手がすでにつながっていたり陣地を作っていて、とても強い石だと評価できる場合は、その付近にいる自分の石はカス石と言えます。
取られても相手はすでに強いので、そこで頑張る必要はないのです。
下がイメージ図となります。
左の△は黒を切っている=弱くしているので要石です。これは取られてはいけません。
右の✕はつながっている黒にくっついているのでカス石です。
まず覚えたい2つの捨て方
捨て石の手筋は様々ですが、まずは「アテ返し」と「シメツケ」という捨て方から学び始めましょう。
こちらの記事では、アテ返しについて解説します。
※シメツケについては後編の記事をご覧ください。
アテ返しとは、相手がアタリにしてきた時にこちらもアタリを打つこと。
下図の手順などがアテ返しです。白△は逃げられないため、白2とアテ返して捨てます。黒は3と応じないとなので、白4は他の場所に先着できて得を図れます。※下図のように近くに打つ必要はありません
このアテ返しについて、さらに具体的な活用法を見ていきましょう。
テーマ図
下辺の黒地が膨らみそうだったところ、白は模様を消そうと肩ツキから打ちました。
肩ツキの定石通りに打って下図のように進行し、白にはキズが2ヶ所できました。
白は△か✕の石を守りたいのですが、この局面では上下どちらをつなぐのがいいでしょうか。
黒は白がつながなかった方を切ってくるものとして考えてください。
では黒2に切られて1子をアタリにされたらどうするのか。
ここで有効なのがアテ返しです。下図のように白3,黒4と進行します。
この後の進行も見ていきます。黒が強いエリアなので、白5とつなぎながら少しずつ黒地を抑えていきます。
黒が続けて下辺に打ってくるなら黒6〜8までが想定されますが、黒地はたいして大きくありません。白1の消しが成功したのがわかります。
※黒6では他に打つことが想定されます。
白は✕1子を取られましたが、その他の自分の石が補強され、また黒地も制限できました。
捨てた以上の得があったと評価できます。
ちなみに下の白✕をつないだらどうなったの?
カス石をつないだ場合
白✕をつなぐと逆側を切られます。
この時点で白3子にやや窮屈感があるのが分かるでしょうか。
先ほどと同じように白はアタリにしながら脱出を図ります。
しかし黒に一歩先を行かれてしまいます。
捨て石が成功した時の図を再掲します。
比べてみると、捨て石が成功した時の白がいかに良い形かが分かります。
まとめ
・カス石は捨てていい、要石は捨ててはいけない
・取られると相手の弱い石が強くなるのが要石
・アテ返しをまず覚えよう
冒頭でも書いたように、捨て石は扱いが難しい分野です。
対局中に捨てるのは最初は大変だと思いますが、何度も学んでいけば感覚を掴めるでしょう。
次回は後編として、もう一つの手筋「シメツケ」を取り上げます。
こちらも知っていると色々な場面で役立ちますので、更新をお楽しみに!
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