打ち込みを安全に打つ方法(5〜3級向け)

より安全に打ち込むには

みなさんこんにちは。
囲碁アマ五段・DecoBocoの井桁(いげた)です。

・相手の辺の陣地に打ち込むと、却って攻められてしまう
・打ち込みをもっと安全に打ちたい

こんな疑問を持っている囲碁級位者の方(5〜3級)に向けて、この記事では

・なぜ打ち込んだのに攻められるのか
・打ち込みを安全にする方法

というテーマについて、参考図も交えながら解説します。

5〜3級向け講座の最終回です。
打ち込みの中でも、辺の敵陣への打ち込みに絞って解説していきます。

※打ち込みの基本定石を知らない方は、以下記事を参考にしてください。
*辺の打ち込みを成功させるコツ(9〜6級向け)

井桁
井桁
今回紹介するポイントを習得して、打ち込みを得意にしましょう!

打ち込んだのに取られそうになる原因

辺への打ち込みは、定石を覚えれば基本的に取られることはありません。

しかし時には相手から思わぬ反撃を受け、却って自分が痛い目にあったという方は多いのではないでしょうか。
死活が発生してしまい、対応を誤って取られてしまったこともあるでしょう。

安全な打ち込みとそうでない打ち込みとでは何が違うのか。
それは周囲に自分の石があるかどうかによることが多いです。

下図を見ていきましょう。
打ち込みの定石が途中まで進んだ局面です。頻出するパターンなので覚えておくといいでしょう。

定石通りさらに進むと黒9〜13までとなります。
黒11のハサミツケが手筋で、白12とキズをつなぐしかなく、黒13とワタって打ち込み成功となります。
ここまで一本道なので、安全な打ち込みとなったわけです。

デイビー
デイビー
もともと白地になりそうだった下辺が黒地になったね!

では次の場合はどうでしょうか。
左下隅に黒ではなく白がいる場合の想定図です。

黒1〜白8まで同じように進んだとします。
このまま問題なく陣地を作れそうですが・・。

左下に白がいるため、白10ではノビてくることが考えられます。
この時点でハサミツケの手筋は消えたため、黒11はハネるくらいです。
白12と抑えられ、黒13とつないで一段落となります。

下辺黒は生きられたものの、やはり黒が左下にいる時と比べて大きな陣地になっていません。
また周囲のダメが詰まると死活が絡みます。

このように打ち込む前に自分の石がいるかどうかによって、その後の展開が大きく変わります。

打ち込んだのに却って取られたという時は、自分の石が近くにいなかったのが原因かもしれません。

デイビー
デイビー
なるほどね〜。そしたら自分の石を増やすにはどうしたらいいの?
井桁
井桁
鍵は布石に隠れているよ!

布石で工夫しよう

打ち込みは基本的に中盤の手です。
そのため序盤の布石で自分の石を増やすことができれば、より安全に打ち込むことができます。

そして布石でできる工夫が「ツメ」です。
相手に詰め寄るように打つ手のことを言います。

これを踏まえて、下図を見ていきましょう。
次が白番です。左辺に注目してください。

左辺の黒は三間ビラキなので、そこに打ち込もうと思ったとします。
この時にまず白1とツメます。

黒2で他の大場に打ちました。
この時に狙えるのが白3の打ち込みです。※実戦はすぐに打たなくてもOKです

黒はつながりを優先して黒4とツケて抑えます。
そしたら白5のサガリが手筋です。これもよくある手なので覚えておきましょう。

黒6で左上を分断してきたら白7とツケます。
黒は8とつながるのが普通で、白9と打って左辺の打ち込みは成功します。

進行があっさりしていますが、これはやはり白1でツメていた効果です。
自分の石を増やしたことですぐに連絡できたのです。

黒6で左辺側をつないできたら、白は左上と連絡します。
この場合は白7で△にツケる手は成立しません。黒✕と打たれて分断されます。

デイビー
デイビー
これも打ち込み成功だね!

白1でツメなかった場合も見ていきましょう。
黒2〜白5は先ほどと同じ進行です。

そして白7で2線にツケるのですが、この場合は下図の進行が予想できます。
黒14まで進んだ時点で、白地がとても小さいのが分かりますね。

また現時点ではまだはっきりと生きておらず、白は左辺ですぐに一眼を作るか、左下にさらに広げなければなりません。
これでは黒の厚みがとても強いため、打ち込んだ白が損しています。

ちなみに黒が打ち込みを避けたい場合は、ツメに対して一間トビで補強します。
白は先手で次の大場に回り、全体では互角の形勢と評価できます。大場は白3のシマリや△のカカリなどが挙げられます。

井桁
井桁
これはこれで穏やかな布石と言えます。

まとめ

・周囲に味方が多くすると打ち込みが安全になる
・打ち込みは中盤の手なので、布石での工夫が求められる
・布石でツメることで、安全な打ち込みを実現できる

囲碁を学んでいると、序盤・中盤・終盤といった区切りで捉えることが多くなりますが、それらはすべて連動しています。
中盤で攻めたいなら、攻めの準備ができる序盤であることが理想です。

打ち込みを狙いたい時は、「打ち込む準備=ツメ」を意識して序盤を打ちましょう!

次回は2〜1級向け講座として「先手を取る練習法」について解説します。
先手を1回でも多く取ることが、初段合格への鍵となります。
その練習法を紹介しますのでお楽しみに。

井桁
井桁
5〜3級編もありがとうございました!

*次の講座は下の画像から飛べます

先手を取る練習法(2〜1級向け)

井桁健太DecoBoco合同会社 代表

投稿者プロフィール

DecoBoco合同会社 代表社員/33歳
囲碁アマ五段・講師歴:10年

個人レッスンやオンライン囲碁サロンの運営などを通じ、初心者から経験者まで幅広く囲碁を教えている。
YouTube「井桁健太の囲碁チャンネル」でも講座動画などを多数載せています。登録者は4200名を突破(2024年11月時点)。

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